
2008年10月1日(水)

昭和27年から本格的に創業を始めた扇屋。そのたたずまいは、まさに旅館らしい旅館、というのが適当だろうか。
館内はわりと近代的な雰囲気もあり、客室は広く、家族連れでも悠々とくつろげる。窓からは飯降山が眺められ、大野の空気をゆったりと感じて過ごせる。

二代目女将の山村裕子さんがいちばん大切にしているのは、やはり料理。報恩講料理をベースとした料理は、地元の野菜と清涼な地下水を使っており、メタボ予備軍のお客さんにも好評だ。野菜嫌いの小さなお客さんも残さず食べてくれるという。女将のおすすめは、扇屋自家製の味噌で仕上げた、大野の名産「里芋」の田楽。地元の素材を大事にしたいという女将は、予約の際にお客さんの好みを聞き、その好みに沿うように大野のものを出せるよう工夫している。
もう一つのおすすめはお風呂からの景色。絶景である。
朝5時から夜12時まで入れるこのお風呂は、大野一の高さを誇る展望風呂。
女風呂からは四季折々の彩りが美しい飯降山が望め、男風呂からは亀山の頂にそびえる大野城が望める。地下水をそのまま沸かしているため、肌にも良いそうだ。

敷地内の日本庭園には、イトヨ(清流の使者、清らかな水のバロメーターと呼ばれる)の生息する池が広がる。イトヨは一年を通してその姿を見ることが出来る。
女将はイトヨの生態について詳しく、とても分かり易くお話をしてくれた。庭園には、他にもさまざまな野鳥が訪れる。
嫁いだのをきっかけに女将になり最初は大野弁にも馴染めず、自分は女将に向いていないと思っていたそうだ。しかし、旅館のこと、お客さんのことを話すその顔は、柔らかくも凛とした「女将」の表情だった。

(記事:平成大野屋マガジン「おおのじかんVol.3」より)