
![]()
2009年4月1日(水)

夕暮れ時の駅のホーム いつものように越美北線を待つ女将がいた。
列車からは登山を終えた宿泊客。預かっていた荷物を手渡す女将。
『荷物、ありがとうございます』 『登山どうやった? また大野に来ておくんねの』
女将との会話が旅の思い出に刻まれていく 。

JR越前大野駅から徒歩数分。細い路地を入ったところに、旅館「こし路荘」がある。扉を開けてまず目をひくのは、美しく生けられた花々。そして、出迎えてくれた女将の、どこか懐かしい、親しみのある笑顔。
「この仕事をしていると、いろんな話が聞けて本当に楽しい」と話す女将。
以前から女将という仕事に興味があり、人からも向いていると言われるというだけに、それは様々なエピソードが女将の口からぽろぽろとこぼれてくる。それらは全て、聞き逃すのが勿体ないくらいの、心がふんわりと温かくなるようなものばかりだ。

駅から近いという立地の良さもあり、宿泊客の大半は登山客。登山に出かけるお客さんのために、お弁当を作ったり、夏場には凍らせたスポーツ飲料を持たせたりと、まるで〝お母さん〟のような女将の心遣いがあるからこそ、リピーターも多いのだろう。
時には山に登るお客さんの荷物を預かっておき、列車の時間に合わせて駅のホームまで渡しに行くこともあるというのだから、お客さんから御礼の手紙が届くというのも頷ける。
終始和やかな笑みを浮かべて
「お客さんはみんな〝大野の人は人情味がある〟と言ってくれる」と話してくれた女将。
最も人情味に溢れているのは女将ご自身だと感じるのは、私も、こし路荘を訪れるお客さんも同じなのだろう。
(記事:平成大野屋マガジン「おおのじかんVol.4」より)